油圧クラッチ

 
1.はじめに

アップハンドルにして、クラッチケーブルの長さが足りなくなった。

で、ロングケーブルを買うぐらいならこの機会に油圧クラッチにしてしまえという事で、ヤフオクで安い油圧クラッチキットを購入して取り付ける事にした。

本当は FRANDO の油圧シリンダとラジアルポンプ式クラッチマスターを付けたいんだけど、さすがに高いしなぁ。

 
2.さて、付けようか

ヤフオクで沢山出品されている AGV 用の油圧クラッチキット。

激安中華品だけあって、スレーブシリンダーのロッドの穴が中心からずれてたり、マスターシリンダの本体はスが入りまくってたりフルードで変色しまくってたり。

取り敢えずまぁ、動作には問題無しか。

またこいつはフルード充填済みで販売されてたんだけど、バラさないとホースの取り回しが出来ないので、一旦フルードを抜いてしまう。

付属のホースは 900mm と長いけど、マスター側のバンジョーが 8mm 、スレーブ側 6mm と特殊なのでカット不可。なので後ろのオイルタンクの方にぐるっとホースを回した。

またスレーブシリンダーのロッドが長いので、取り敢えずアルミ板でステーを作ってスレーブシリンダーを取り付ける。

マスターシリンダーのクランプは分割式じゃないので、スイッチボックスとグリップを外して取り付け。

レバーを握ったとき、レバーの遠さを調整するボルトの頭がスイッチボックスと干渉するので、後ほど頭を切り飛ばし、マイナスドライバーで調整できる様にした。

このマスタシリンダにもスレーブシリンダにもブリュードスクリューが無いので、エア抜きはちょっと特殊。

まずはマスターのリザーブタンクにフルードを入れておき、スレーブシリンダーのロッドを前後させてフルードを吸い込ませ、エアを吐き出させる。
その際、ロッドをゆっくりと動かさないとリザーブタンクの穴から勢いよくフルードが飛び出すのでマスター周囲の養生は必須。

次は通常のエア抜きよろしくレバーをポンピングし、握り込んだ所でバンジョーボルトをちょっと緩めてフルードとエアを滲みださせる。

エアが抜けてスレーブシリンダーがきちんと動く様になったら、リザーブタンクにフルードを満たして密閉。

最後にホースで水をザバザバかけて、飛び散ったフルードを完全に洗い流す(フルードは親水性なので、水に溶けてくれる)。

後はクラッチの位置を調整して完了したのだが、幅広の 3mm のアルミ板でもクラッチを握るとしなってしまう。もっと分厚い奴から削りだしたら別なんだろうけど、フライスなんか持ってないしねぇ。

と言う事で、鉄のアングルから削りだし。

さすが鉄だけあって、この小ささでも十分な強度。

と思ったら、これでもちょっとしなるので、もうちょっと幅を取ってやった方が良さそうだなぁ。

 
3.マスターシリンダーの交換

一応これで機能的には問題なく使えていたのだが、マスターシリンダーのレバーの根元がスイッチボックスと干渉してレバーを握りきれず、それを緩和する為にマスターを右に寄せる事で、ただでさえ短いレバーがより短くなってしまうのと、非常に周りから浮いてる薄いブルーのカラーリングが気になって、ハンドルをハリケーンのものに交換するついでにクラッチマスターも以前に買った DUCATI 純正の brembo のものに交換する事にした。

問題はバンジョーボルトのサイズで、この中華油圧クラッチキットはマスター側が 8mm (スレーブ側は 6mm (自転車か?))という大きさのため、そのままでは 10mm のバンジョーボルトを使う通常のマスターシリンダーは使用できない。
8mm のマスターに 10mm のバンジョーを使う為のバンジョーボルトなら売ってるんだけど、8mm のバンジョーを 10mm のマスターに、と言うのは売ってないし(そりゃ 10mm のバンジョーボルトは 8mm のバンジョーの穴には通らんわな)、スレーブシリンダー側の 6mm なんてサイズは自転車用のかしめられたホースしか売ってないしので、ホースを自作する事も出来ないし。

と言う事で、元のホースの 8mm 側をカットして、手持ちの 10mm のバンジョーを取り付けてやる事にした。

で、バンジョーの取り付けは金属メッシュのカットが面倒なだけで、別段そんなに難しい物ではないのだが、この中華ホースはまぁ、中のホースがテフロンじゃなく、ナイロンか何かでとにかく固い。
曲がらないとかナイフで切れない堅さじゃないんだけど、とにかく表面が固くて(伸縮性が無くて)オリーブが入っていかない。

CRC 噴いたりしてなんとか奥まで押し込んだけど、こんなホースは二度と作りたく無いわ (--;

こんな感じで付いた。

ホースは短くしようかとも思ったけど、このメッシュホースが固くて取り回しし難いので、結局前と同じ長さで、後ろにぐるっと回して取り付けた。

ちょっとレバーが長め、且つ遠めなんだけど、まぁいい感じかな。

でもレバーが前より重い。やっぱりマスターの径が大きくなった分、引きが重くなったんだな。

ところが大問題発生。

マスタシリンダーのシールがやられてて、クラッチの操作を繰り返してるとじわじわとフルードが漏れ出して来た。

そのフルードが走行中の風でタンクに飛び散って、塗装が線状に侵されて気づいた (T^T)

こりゃあかんわ ... orz

仕方無いので、急遽安いマスターをヤフオクで入手。

GPZ900R 用の物で、お値段 800 円。

 

取り敢えずバラして清掃。

ピストンを留めてるスナップリングは手持ちのプライヤーでは届かず、分解を断念。

まぁ値段なりの状態だけど、十分使えそう。

 

交換完了。

今度はフルードを噴く事も無く使えるが、スレーブシリンダーの径が 10mm 前後だろうか、に比べてこのマスターは 14mm あるので、重い云々よりもレバーの作動範囲が狭く、引ききる事が出来ない。

でもまぁ、しばらくこの状態で走る事にする。

 

   
4.買っちゃった

ボーナスもなんとか出たという事で、とうとう FRANDO のスレーブシリンダーを買ってしまった。

 

クラッチアームのワイヤーが入る口に比べてスレーブシリンダーのロッド先端の溝が広いので、クラッチアーム側の口をマイナスドライバーで広げて差し込んでから、ペンチで元に戻して取り付ける。

それ以外には特に問題も無く。また油圧ホースは ACTIVE の 710mm で、フロントから回す様にした。

   
   
5.で、どうだ

マスター、スレーブとも 14mm になったので、レバーをちゃんとグリップまで引ききれる様になった。引く時の力も軽くはなったけど、ワイヤーに比べたら重いかな。

でも、やっぱりハンドルの向きに影響されず、いつでもどこでも確実なクラッチミート、ハンクラってのは良いわぁ(笑)

マスターとスレーブシリンダー、そして油圧ホース等による重量増を考えると、原付にはオーバスペックかもしれないけど、自分にはこのハンドルの向きに影響されないクラッチミートというのはそれを補って余りある機能なんだよなぁ。