ボアアップ

 

さて、本体も出来上がったし、ノーマル状態でエンジンに異常がない事もわかったので、最後の仕上げにボアアップの実施。

パワー的にはそんなに不満は無いんだけど、うちの近所はアップダウンが激しいのと、二段階右折が所々にあるので、原付一 種ではちょっと運用が辛いと言うのが主な理由。

ボアアップキットはネットで色々漁ったけど、言ってしまえばどれも似たり寄ったりだし。結局はヤフオクに良く出品している業者の 68.8cc のものを選んだ。
ちょうどクリスマスセールでちょっと値下げした時だったしね。

もうちょっと安いのもあったんだけど、この業者のはベースガスケットが2枚付いてくるし、自分の店舗でも取り付けとかやっているのでちょっとは信用できるかなという感じでもあったし。

写真は届いたキットと後期モデル用の純正リードバルブ。

ネットの噂ではバリだらけだとか仕上げが粗いとか聞いていたんだけど、特にそんな事もなく、そのままで十分使えるものだった(レースで使うレベルだとどうか知らないけれど)。

リードバルブは、前期型の物はサイズが違って入らないとの事だったので購入したんだけど、実際にキットが来て試してみると、元々のリー ドバルブも問題なく入った。

どうやら前期型にも複数の種類があるらしく、もしかしたら不要な出費だったかもしれない。

さて、いよいよ組み付けだけど、まずはタンクやキャブレターを外し、次に冷却水を抜いて、パイプ類を外す。

次にヘッドのボルトを均等に緩めて行き、プラスチックハンマーで小突いてヘッドの固着を緩める。そしてヘッドを外してピストンとご対面。

ヘッドは思いのほか固着が少なくって簡単に外れた。ピストンのトップはカーボンが溜まっていたものの、思いのほかカーボンの量も少ない感じ。

もしかして、このエンジンは何度か蓋を開けてるのかな?

次にシリンダーブロックをプラスチックハンマーで小突いて緩め、抜き取る。

思いのほか簡単に抜けたのと、ベースガスケットの両面テープの剥離紙がはがされてなかった所を見ると、やっぱりこのエンジンは過去に蓋を開けているようだ。

それはさておき、ピストンの状態は悪くは無いけど、スタッドボルトは一部サビサビ。

クランクケースの中にゴミが入らない様にウエスを詰めて、まずはガスケットの残りをはぎ、ワイヤーブラシで錆び落とし。

細いドライバーとラジオペンチを使ってCクリップを外し、ピストンピンを抜いてピストンを外す。
コンロッドにはまっているベアリングも抜いて状態チェック。

ベアリングにもコンロッドにも傷は無く、ガタも無いので再利用OK。

外してからじっくり見てみると、吸気ポート側には結構な縦傷が入っている。

フィルター無しの直キャブで走行していたのも傷の要因の一つかなぁ。

ボアアップピストン単体だとそんなに大きな気がしなかったんだけど、こうやって並べてみると、ノーマルのピストンとボアアップピストンの大きさの差がよくわかる。

で、まずは新しいピストンにピストンリングをはめる。
本体とリングをパーツクリーナーで洗い、2ストオイルを双方に塗って、傷つけない様に、折らない様に慎重にはめ込む。

ノーマルのピストンリングは1段目と2段目で異なるのだが、ボアアップピストンは2段とも同じリング。リングを填める溝の上部に回り止めのピンが入っているので、上下を間違わない様にはめ込む。

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横並び。

こうやってみると結構ピストンが焼けてるなぁ。ピストンリングが逝ってしまってだいぶ吹き抜けていたのか?

それはさておいて、まずはここで片側のCクリップ(こいつに付属していたのはGクリップ)をはめておく。

組み立てる時に右サイドから作業するので、先にクリップを填めるのは左側。

ベアリングに2ストオイルを塗ってコンロッドにはめ、ピストンをかぶせてピストンピンを挿入。

ガタ等無い事を確認したら、残りのCクリップをはめる。

ちなみにCクリップは指と細いドライバで、奥の溝にカチっときれいに収まるまで押し込んではめる。

失敗した時用に純正のCクリップを1セット用意していたんだけど、無事それは使う事無く装着完了。

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次にシリンダーブロックの装着。

まずは付属のベースガスケットを2枚ともスタッドボルトに通し、ピストンとシリンダーに2ストオイルを塗って、ピストンピンが切り欠きに合う様に押し縮めながらピストンをシリンダーに挿入して行く。

ん〜、ピストンをシリンダに挿入するというよりも、シリンダをピストンに下ろして行くという感じかな。

で、これは50cc クラスという事もあってシリンダが軽く、ピストンリングのテンションも低いのですんなりはまったんだけど、填めた後でチャンバーを取り付けるためのスタッドボルトを付け忘れているのに気づいた。

仕方ないのでせっかく填めたシリンダーを一旦抜き、スタッドボルトを取り付けた後で再度挿入。
う〜っ、二度手間。

次にシリンダーを押さえながらキックペダルを動かして、引っかかり無くピストンが上下するのを確認するとともに、位置合わせ。

そしてガスケットとシリンダーヘッドを填め、キックペダルを動かしてピストンとヘッドが干渉しない事を確認し、位置合わせをしたなら、シリンダーのボルトを均等に締め付けて固定。

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で、エンジンをかける前にチャンバーを取り付けようとして、チャンバーのアダプタをマフラー取り付けのスタッドボルトにはめようとしたら、はまらない。

スタッドボルトの間隔が微妙に広くてはまらない (--;

仕方ないのでヤスリでアダプタの穴を広げ、なんとかチャンバーを取り付け、ホース類をはめて、ようやくボアアップ作業完了。

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説明書には、慣らしの間はオイルポンプの吐出量を上げて、メインジェットも上げろとあったので、オイルポンプのワイヤーをノーマルの位置よりだいぶ引っ張り、メインジェットは手持ちのセットの中で一番上の番手を装着した。

加えてガソリンを 10:1 の混合にしておけとあったので、とりあえず SRX からガソリンを 1L 抜き、 2ストオイルを 10cc 混ぜてガソリンタンクに投入。

チョークを引いて、数回のキックで何ら問題なくエンジン始動。

ノーマルよりも、ちょっと排気音が野太い感じがする(気のせい?)

まずは 4000 回転ぐらいまででその辺りを一周してきたけど、68.8cc とは言え、ノーマルの 49cc に比べて 1.4 倍も排気量アップすると、低速トルクが相当太くなって乗りやすい。

これが、慣らしが終わって上まで回せる様になったら気持ちいいだろうなぁ(笑)