エレクトロラックスiCute 2006/06/27 修正
 
1.はじめに

結婚した時に買った三菱の掃除機(TC-S75EG)が壊れてしまった。壊れたのは先端のノズルの付け根部分で、回転部分のストッパーが折れ、パイプからノズルが外れてしまった(そもそもどうしてストッパーなんかついているの?という構造だったが)。とりあえず木片でストッパーを作り、粘着テープで押さえて修理したのだが、掃除中にあちこちぶつける等相当な力がかかるようで長期間持たない。修理を繰り返して半年程持たせたのだが、すぐに外れる様になって来たためにあきらめて買い替える事にする。世紀末の 1999 年に購入したので6年ほどの寿命であった。

 
2.機種の選定

どうせ買うのならゴミを良く吸って、静かで排気がクリーンなのがいいなぁ(でも安いの)。という事で、次の候補でネットから探していると、

  1. ダイソンのサイクロンクリーナ
  2. 排気循環型
  3. 吸込仕事率の高い紙パック式クリーナ(通常型)

やっぱりありました、怪しいサイト「株式会社生活環境研究所のホームページ」(笑)。
でも、事あるたびに特定の機種がよいという結論に持っていこうとするのを除けば、書いてある事はそれなりに参考になる。そこでこのページをベースにしていろいろと調べたところ、いやぁ〜、いろいろと問題はありますねぇ。

まず一番候補であったダイソンのサイクロンクリーナーだが、

  • ゴミの入るカップの容量が小さく、頻繁にゴミを捨てないといけない。
  • フィルターがすぐに目詰まりし、フィルタの掃除をしないと吸引力が相当落ちる。
  • ものすごくやかましい
  • うたい文句と違って排気はあまり奇麗ではない
  • 高い!
  • デザインに癖がありすぎる

と、何やらとっても良くない。国産のサイクロン式はダイソンの社長がテレビで「独創性が無いね」と一刀両断に切り捨てていたので嫌だし(笑)。

次に排気循環型を調べていると、

  • 吸い込み口に排気を戻すのだが、その排気によってゴミを吹き飛ばしているらしい。
  • 100%循環している訳ではなく、後方(サイド)排気がある。
  • ゴミの吸いがいまいち。
  • 熱い排気を再度吸い込むため、モータがオーバーヒートして止まる事がある。
  • 排気をヘッドに戻す必要があるため、ホースが太くなる。
  • やっぱり安くは無い。

と、これもなんだかなぁ〜。

そして通常型の紙パッククリーナは、

  • 吸込仕事率はピンキリ
  • 音の大きさもピンキリ
  • HEPA フィルタを装備している物は排気がクリーンらしい
  • 値段もピンキリ
  • フィルターによっては濃い殺虫成分を含んでいる

と、よくいえば選び放題、悪くいえばこれといって特徴が無く。

ダイソンと排気循環式はちょっとボツだなぁ。といえ水フィルター式なんてなると使い勝手が悪いし重いので論外だし。やっぱり紙パック式になるかぁ。それでモータ物だからやっぱり日立かなぁ。等といろいろ考えながら調べたが、調べれば調べるほどにどのメーカのも特徴が見えなくなってくる。ようはゴミを良く吸うのか吸わないのかどちらなのよ。

ちょっと頭が飽和してきたのもあって、某ページで強く推奨されているエレクトロラックスのオキシジェンについて調べていると、結構いいじゃないの。吸込仕事率という抽象的な物ではなく、ダストピックアップ率というゴミをどれだけ吸うかの具体的な値を出してくれているし、この値が結構高い。また排気は紙パック自体+モータフィルター+排気フィルターの3段階構成で文句無しに奇麗だし、上位機種はとても静からしい。
国産掃除機のどれをとっても特徴の分からない物に比べ、「良く吸って,排気がきれい」という特徴がはっきりしていて気持ちがよい。また「輸入家電」という甘美な響きがあるじゃないか(笑)

そこでもう少し調べると、国内で現在販売されているエレクトロラックスの紙パック掃除機は

の4機種。最上位のオキシジェンはもう、良く吸うわ排気はきれいだわ静かだわでいう事は無いのだが、いかんせん高い!!。ウルトラサイレンサーも結構な値段がするので、エルゴスペースにするべく梅田のヨドバシカメラにかみさんと見に行くが、ここで重大な欠点が判明。まあ、とにかく巨大。現在販売されている国産メーカの掃除機に比べると、3倍ぐらいあるサイズで、重量も倍近く重い。一軒家ならともかく、狭いマンション住まいのうちにはつらいサイズである。

そこで一番下位機種のiCuteはどうかと思ったが、サイズは現行国産機種より一回り大きい程度だが、スイッチはON/OFFのみ、吸引力の調整はホースに開いている穴を開いたり塞いだりするだけとひたすら機能はシンプル。さすがにこいつはなぁ〜と思っていたが、日本橋のニノミヤで 6,800 円で売っているのを見かけ、値段の割に作りはしっかりしているので、かみさんと協議の結果購入を決定する。


:「この掃除機どれだけゴミを吸いますか?」という問いに対して「吸込仕事率500Wですから良く吸います」という答えは、「この車にどれだけ人が乗れますか?」という問いに対して「出力が180kWだからたくさん乗れます」と言っているようなもんだなあ。

 
3.開封

外箱。 46cm×31cm×29cm。
重量は6Kg程度なので、がんばって電車で持って帰る。

ふたを開けると、テレコピックチューブ、ホース、ヘッドが入っている。

ホースの下に本体が、また左側の隙間にミニノズルやブラシノズルが入っている。

 
4.本体

本体と、本体にテレスコピックチューブ、ホースを組み付けたところ。

チューブにある2カ所の引っかけを使って、本体の前後にチューブを立てる事ができる。

本体重量は約 5.2Kg と、国産の軽い機種に比べると重いが、バランスは悪くなく。

チューブはステンレス製で頑丈。ホースは電源ケーブル等が通っていない分、軽くてしなやかである(安っぽいともいう)

 
5.フィルター

それではこの掃除機のウリの一つである、排気の奇麗さを保つためのフィルターである。

本体のふたを開けると現れるのが、紙ゴミパックフィルターと、その奥のモータフィルター。
紙パックの口には薄いゴムの輪っかがついており、また蓋のホース口の所に厚いフエルトの輪っかがついており、紙パックとホースの密閉度を上げているようである。

モータフィルターは台所の食器洗いに使うような粗い感じのスポンジ素材でできている(実際には目は細かい)

本体と蓋との間には密閉用のパッキンがぐるっとはまっており、蓋を閉じる時も軽くは閉まらず、ちょっとパッキンを押し込む様に軽く抵抗感を持ってはめる。このあたりはパッキンがあっても抵抗感無く閉まっていた旧三菱製とは大きく違う感じ。

本体の後ろにあるのが排気フィルター。不織布を蛇腹状に加工した様な形のHEPAフィルターといわれる物で、がたも無く、ゴムパッキンと相まって隙間無くぴったりと固定される。
この値段(6,800 円、平均 9,800 円程度)でこれだけきっちりした作りをしているのは結構お得?

   
 
6.チューブ、ホース、ノズル

これはステンレス製のチューブ。ノズル側にスライド式のロックがついており、押しながらチューブをカチカチカチと伸び縮みさせる事ができる。

ホースの持ち手側にある、吸込み強さを調整するための「穴」。
非常に安っぽい。

そういえば昔の国産掃除機にもカーテン掃除等様にこんな穴がついていたよなぁ。あれはあれで、このように片手で操作できるような代物じゃなかったが。

ホースの持ち手側の接続部。完全に固定されているのではなく、くるくると360度回転する。

ホースの本体側の接続部。はめ込んだ根元が、これもまたくるくると360度回転する。

ノズルは「床・畳」と「カーペット」だけがつい切り替えのシンプルな物。国産の物に比べて根元が大きい。
上下に30度程度動き、左右に360度 回る。首振り機構は無い。

古い三菱機は風力式の回転ブラシ式ヘッドだったので、ブラシ無しのヘッドだとカーペットの掃除には不安だったのだが、カーペットモードにするとヘッドがカーペットの毛が立たせるような動きをし、今まで中々取れなかったような毛の奥のゴミが取れたのにはびっくり。

 
7.評価
  • 良く吸ってくれるかどうか:

    新しいエレクトロラックスのiCuteは吸込仕事率185Wと、古い三菱のTC−S75EGの540Wに比べて1/3しか無く、またヘッドもブラシ無しのタイプであるにもかかわらず、とにかく良く吸う。きちんとした比較はできないが、短い毛足のカーペットに入り込んだゴミだと、このiCuteの方がよく取れているようである。(少なくとも三菱の540Wより悪いという事は全然ない)

  • 排気が奇麗かどうか:

    排気からあの掃除機独特のホコリ臭さが無く、フィルタが新しいためか、フィルタのパッキンのゴムの臭いが少しするだけである。古い三菱のは上蓋からも排気が漏れていたが、iCuteは特にない。これは間違いでした。特に左の車輪の付け根から盛大に排気が漏れ、使い込んでいるうちにホコリ臭くなってきた。

  • 取り回しはどうか:

    ホースが細くて柔らかく、根元で360度回転するために取り回しがよく、結構使い勝手が良い。スイッチがON/OFFしか無い点についても、今まで手元で強さを操作していたのはノズルが床にへばりついてしまった時に緩めるためか、ちょっとやかましいなあと思った時に音を抑えるためにしか使っておらず、iCuteでは無くても特に困らない事が判明。
    重さも古い三菱の物が4.6Kg、iCuteが5.2Kgというカタログ値だが、持った感じ、また引き回した感じでは、iCuteの方が軽い。

  • 静かかどうか:

    カタログ値ではiCuteは64dB。HPによっては夜には掃除ができない、うるさいと書かれている所もあってこの点は期待していなかったのだが、何の何の、古い三菱の掃除機(カタログ値54〜60dB)に比べて断然静かである。会社に置いてある日立製の掃除機(家庭用)に比べても、断然静かである。店頭で聞く音とは条件が違うので比較はできないのだが、ダイソンよりは断然静か、他の機種のフルパワー時よりも静かな気がする。

  • 買って気づいた問題点:

    排気フィルターをゴミパック5回交換毎に交換しないといけなかったのはちょっと調査ミス。上位のオキシジェンとウルトラサイレンサーは水洗い可能で5年程度使えるとあったので同様の物だと思っていたら、下位のエルゴスペースとiCuteはモータフィルターと同じ頻度での交換式だった。1つあたり2千円するので、ゴミパックの交換頻度によってはコストが掛かるなぁ。
    また、うちの近所ではゴミパック、モータフィルター、排気フィルターの消耗品が手に入れにくい。今の所通販ではいくらでも手に入るので、ある程度まとめて確保しておく必要がありそうである。

 
8.総合評価

この値段でこの機能なら十二分に満足ですねぇ。十分に吸うし、排気が奇麗で掃除機の後ろを子供が追いかけていても安心だし、ホコリをまき散らさない様に掃除機の本体をベランダに出して、なんて事も考えないでいいしねぇ
家がもっと広ければもう一つ上のエルゴスペースでもいいんだけど、こいつはさすがに重くなるので、1階と2階を行き来しながら掃除するのは辛いかもしれないです。

【2006/1/7 追加】
【2006/6/26 修正】
かみさんだけでなく、実際に自分でも何回か使ってみた所、色々と気づく。

  • 排気対策は完璧ではなく、上蓋のロックの部分と左の車輪の付け根から結構排気が漏れる。ただし、顔までくっつけて確認したが、今の所ホコリ臭さは全くない(それより排気フィルタからの排気がゴム臭い)。
    排気対策は完全ではなく、上蓋のロック部分と左の車輪の付け根から、特に左の車輪の付け根から排気が盛大に漏れる。せっかく付いているHEPAフィルタなのに、フィルターを通る排気が 30% 、車輪部やロック部から漏れる排気が 70% という感じであり、新品当初はゴムの匂い位しかしなかった排気臭も、使い込むにつれて相当ホコリ臭くなってきた。

  • 電源スイッチが固く、出っ張っていないので、スリッパを履いた足ではオン/オフできない。結局は腰を屈めて手でスイッチを操作している。

  • ヘッドを床モードにしてブラシを出していると、ゴミがよく取れるのは良いが、ブラシに髪の毛等がよく絡む(それだけ取れているからいいのかな)。

  • 付属のブラシヘッドでエアコンのフィルタを掃除するとよく取れる。

  • やはりカタログ値に比べて本体が軽く感じる。ホースがものすごく軽い事もあってか、ホースの先をブラシヘッドに変えて、本体を持ったままでエアコンを掃除していても苦にならない。(今までの三菱の掃除機では重くて不可能)
    ホースが付け根からくるくる回ってくれるのは使いやすくてよいのだが、一度ホース本体がパイプとの接続部品からズポッと抜けてしまう。ゴム系の接着剤を付けて固定してあったようなのだが、作りが甘いのか使い方が粗かったのか...。取り敢えずそのまま再度押し込んで問題無く使えている。

基本的にやはりこの掃除機は良く吸ってくれる。また変に吸込み仕事率が高くないおかげか、細かい所や比較的柔らかい物を掃除する時に非常に扱いやすい。
排気漏れがあるのはちょっと残念だが、それでも変な国産機よりかは使いやすくていいかな、と思う所である。少々なら別だが、盛大に漏れる排気漏れは、クリーンさを期待してエレクトロラックスにしたという理由もあって非常に残念。ただ、同じ位の値段の国産機と比べた場合、シンプルで取り回しがしやすく、良く吸うという点で良い掃除機ではないかと思う。